2026年10月2日
インボイスをきっかけに課税事業者になった人が使っている2割特例が、今年分で終わります。 代わりに来年から「3割特例」が使えますが、業種によっては簡易課税のほうが納める額が少なくなります。 国税庁が出している数字を並べて、どちらを選ぶかが分かる形にしました。
私は税理士ではありません。自分の申告は会計事務所に頼んでいます(頼むか自分でやるかの線引き)。 ここに書いたのは国税庁の資料を読んで整理したものです。自分の店にあてはまるかは、税務署か税理士に確かめてください。
国税庁のリーフレットに、こう書かれています。
現行の2割特例は、令和8年9月30日までの日の属する課税期間で終了します。
個人事業者の課税期間は1月1日から12月31日です。令和8年9月30日は令和8年分(2026年分)の中に入っています。 だから2026年分が最後で、実際に2割特例で申告するのは2027年3月31日が期限の申告になります。
9月30日に何かを出す必要はありません。締め切りではなく、「この日を含む課税期間までは使える」という区切りです。 2026年分は、いつもどおり2割特例で申告できます。
令和8年度の税制改正で、入れ替わりに3割特例ができました。
インボイス発行事業者の登録を受けたことにより免税事業者から課税事業者となった個人事業者に係る 令和9年分・令和10年分の消費税の確定申告において納付税額を売上税額の3割とすることができる特例です。
国税庁が挙げている主な要件は3つです。
使うときは確定申告書にその旨を付記するだけです。事前の届出はありません。 つまり申告のときに決められます。
なお、基準期間の課税売上高が1,000万円を超える年や、相続・高額な設備投資などで免税点制度の適用が制限される年は、3割特例を使えません(国税庁の問115-2)。
2割特例のときは、ほとんどの業種でこれが一番得でした。3割になると、そうではなくなります。
簡易課税は、売上にかかった消費税にみなし仕入率をかけた額を仕入れの消費税とみなして引く方法です。 国税庁が示している率はこうなっています。これをそのまま「納める割合」に直すと、3割特例と直接比べられます。
| 事業区分 | みなし仕入率 | 簡易課税で納める額 | 3割特例 | 少ないのは |
|---|---|---|---|---|
| 第1種(卸売業) | 90% | 売上税額の10% | 30% | 簡易課税 |
| 第2種(小売業、飲食料品の農業・林業・漁業) | 80% | 売上税額の20% | 30% | 簡易課税 |
| 第3種(製造業、建設業、鉱業など) | 70% | 売上税額の30% | 30% | 同じ |
| 第4種(飲食店業など、ほかに入らない事業) | 60% | 売上税額の40% | 30% | 3割特例 |
| 第5種(運輸通信業、金融業・保険業、サービス業) | 50% | 売上税額の50% | 30% | 3割特例 |
| 第6種(不動産業) | 40% | 売上税額の60% | 30% | 3割特例 |
小売のお店なら、簡易課税のほうが納める額は3分の2です。 国税庁のQ&A(問117-3)も、小売業の人の質問に対して 「簡易課税制度を適用して申告することで、80%のみなし仕入率が適用されることになりますので、3割特例を適用するよりも、消費税の納付金額が少なくなると考えられます」と答えています。
逆に、サービス業・飲食店・不動産は3割特例のほうが少なくなります。 「2割特例が終わったら簡易課税に切り替える」が正解とは限らない、ということです。
簡易課税は本来、使いたい課税期間が始まる前の日までに届出書を出さないと使えません。 1年先の数字を見る前に決めなければならないのが、この制度の使いにくいところでした。
そこが、今回の改正で変わりました。
2割特例・3割特例の適用を受けた翌課税期間に簡易課税制度の適用を受けようとする場合は、 その適用を受けようとする課税期間の申告期限までに届出書を提出することで、 その課税期間から簡易課税制度の適用を受けることが可能です。
個人事業者に当てはめると、こうなります。
| 年 | 選べるもの | 決めるタイミング |
|---|---|---|
| 2026年分(令和8年分) | 2割特例/簡易課税/一般課税 | 2027年3月31日の申告のとき(2割特例は付記するだけ) |
| 2027年分(令和9年分) | 3割特例/簡易課税/一般課税 | 2028年3月31日まで。簡易課税を選ぶならこの日までに届出書 |
| 2028年分(令和10年分) | 3割特例/簡易課税/一般課税 | 同じしくみ |
つまり2027年分は、1年が終わって数字が出てから、3つを比べて決められます。 これは今までなかった形です。年内に急いで届出書を出す必要はありません。
どの方法を選ぶにしても、来年の判断に使う数字は、今年の帳簿から出てきます。10月のうちにできることは2つです。
10%と8%(軽減税率)が混ざっているお店は、合計だけだと消費税の計算に使えません。 卸と小売、物販とサービスのようにみなし仕入率の違う売上があるなら、そこも分けておきます。
2026年の課税売上高は、2028年分の判定に使われます(基準期間は2年前)。 1,000万円に近いところにいる場合、今年の数字が2年後の選択肢を決めます。 売上・仕入帳の「月のまとめ」を足していけば、いまどのあたりかは今日のうちに分かります(月のまとめの見方)。
帳簿を会計ソフトに移すなら、無料で試せるものを3つ並べてあります。 申告の方法をソフト側で選べるので、2027年分の比べ方は自分で計算するよりそちらのほうが速いです。
2026年10月2日に国税庁のページとPDFで確認した内容です。税制は変わります。申告の前に最新の案内を確認してください。