メールで来た請求書は、印刷して捨ててはいけない
ただし、小さな店はほぼ猶予措置に当てはまります

2026年10月8日

2024年1月から、メールやネットで受け取った請求書・領収書は、データのまま保存するのが義務になりました。 「印刷して紙で保管、データは削除」が通らなくなっています。 ただし猶予措置があり、小さな店はたいてい当てはまります。条件を公的な資料で確認しました。

私は税理士ではありません。自分の申告は会計事務所に頼んでいます(頼むか自分でやるかの線引き)。 ここに書いたのは財務省と国税庁の資料を読んで整理したものです。自分の店にあてはまるかは、税務署か税理士に確かめてください。

何が対象になるのか

対象は「電子取引」、つまりやりとりが紙でなかったものです。小さな店でよくあるのは、このあたりです。

意外に思われるものも入ります。国税庁の追加の一問一答には、インターネットバンキングを使った振込も電子取引に該当し、 振込を実施した取引年月日・金額・振込先名などが記載されたデータの保存が必要だと書かれています。

逆に、最初から紙で受け取った請求書・レシートは対象外です。それは今までどおり紙で保管すれば足ります。 手書きの請求書を出している・もらっている場合は、そのままで構いません。

いちばん多い間違いが「印刷したからデータは消した」です。 紙に出すこと自体は問題ありませんが、データのほうを消してはいけません。

猶予措置:これに当てはまれば、要件どおりでなくてよい

本来は、改ざん防止の措置や検索できる形での保存といった要件があります。 ただし、令和5年度の税制改正で猶予措置ができました。財務省の説明では、次の2つを両方満たす場合です。

条件中身
相当の理由 所轄税務署長が相当な理由があると認める場合。具体例として 「システムや社内のワークフローなどの整備が間に合わず、要件に従った保存ができない場合」 「資金繰りや人手不足などの理由で要件に従った保存ができない場合」が挙げられています
2つの求めに応じられる 税務調査等の際に、電子取引データの「ダウンロードの求め」と、 そのデータをプリントアウトした書面の提示・提出の求めに、それぞれ応じることができるようにしている

「資金繰りや人手不足」が理由として挙がっているのが、ここの肝です。 ひとりでやっている店が、専用のソフトを入れられないまま、というのは広く当てはまります。 事前の申請も要りません。

ただし、データを捨ててよいという話ではありません。 「ダウンロードの求めに応じられる」が条件なので、データは残っている必要があります。 猶予されているのは「要件どおりの保存の仕方」であって、「保存そのもの」ではありません。

検索の要件は、2年前の売上が5,000万円以下なら要りません

もうひとつ、小さな店に効く緩和があります。財務省の説明です。

税務職員からの電子取引データの「ダウンロードの求め」に応じることができるようにしている場合で、次のいずれかに当てはまるとき、 検索機能の確保の要件は不要になります。

・基準期間(2課税年度前)の売上高が5,000万円以下
・出力書面を取引年月日その他の日付および取引先ごとに整理された状態で提示・提出することができるようにしている

個人事業なら「2年前の売上」です。2026年分なら2024年分の売上を見ます。 5,000万円以下なら、検索できる形に整える必要はありません。

2つ目の条件も覚えておく価値があります。売上が5,000万円を超えていても、印刷したものを日付順・取引先ごとに整理しておけば、検索の要件は免除されます。

では、実際どうすればいいか

ここまでをまとめると、小さな店がやることは1つだけになります。

届いたデータを、消さずに1か所にためておく。

特別なソフトは要りません。私がやるならこうします。

フォルダを年ごとに1つ作る

パソコンかクラウドに 2026年_電子取引 のようなフォルダを作り、届いたPDFをそこに入れるだけです。 月ごとに分けると探しやすくなりますが、分けなくても構いません。

ファイル名は「日付_取引先_金額」にしておく

検索の要件は免除されていても、自分が探せないと困ります。 20261008_○○商店_32400.pdf のように付けておけば、並べ替えるだけで日付順になります。

この形は、国税庁が検索要件を満たす方法として案内している付け方と同じです。 免除されていても、この形にしておけば将来そのまま使えます。

メールそのものを残す場合は、本文に取引情報があるかを見る

添付のPDFだけでなく、メールの本文に金額や取引日が書かれていることがあります。 その場合は、本文のほうも保存の対象になります。迷ったらメールごとPDFに書き出して、同じフォルダに入れておくのが確実です。

バックアップを1つ取る

保存期間は帳簿書類と同じ扱いです(Excelの帳簿と確定申告に青色申告の区分ごとの話を書きました)。 何年も先に求められる可能性があるので、パソコンが1台しかないなら、外付けかクラウドにもう1つ置いてください。 データを失うと、猶予措置の条件である「ダウンロードの求めに応じる」ができなくなります。

ソフトを入れるかどうか

以上のとおり、小さな店なら、フォルダとファイル名だけで足ります。 慌てて何かを買う必要はありません。

それでも会計ソフトを検討する理由があるとすれば、電帳法への対応そのものより、 仕訳と証憑が1か所にまとまることのほうです。 紙とデータが混ざっている状態は、探す手間が毎年かかります。

無料で試せるものを3つ並べてあります。 どれも電子取引データの保存に対応しているので、試すなら年が変わる前のほうが、区切りがよくて移しやすいです。

まとめ

出典

2026年10月8日に各公式サイトで確認した内容です。制度は変わります。判断の前に最新の案内を確認してください。