手書きの請求書でインボイスを出している個人の卸が、毎回確認していること

2026年9月26日

私は個人で金属加工品の卸をしています。適格請求書発行事業者の登録はしていて、請求書は手書きです。 得意先が少なく月締めなので、月に書く枚数はわずかです。この条件なら、手書きで問題なく回っています。

ただ、手書きは「書き忘れ」がそのまま相手の仕入税額控除に響きます。 だから毎回、決まった項目を指で押さえながら確認しています。その中身を、国税庁の資料で確かめたうえで書きます。

手書きでも「適格請求書」になる

適格請求書(インボイス)は、決まった様式がありません。書類の名前も問われません。 必要な事項が書かれていれば、手書きの請求書でも、納品書と請求書の2枚を合わせた形でも、適格請求書として扱われます。 「ソフトで作らないとインボイスにならない」ということはありません。

毎回確認する6つの項目

記載事項手書きで落としやすいところ
① 自分の氏名または名称と、登録番号登録番号は「T」+13桁。屋号だけ書いて番号を忘れる。ゴム印にするか、書式にあらかじめ印刷しておくと落ちません。
② 取引年月日月締めなら「○月分」だけで済ませがち。明細ごとの日付か、まとめる期間をはっきり書く。
③ 取引内容(軽減税率の対象なら、その旨)金属加工品は軽減税率と無縁ですが、食品を扱う人は「※」などの印と、その説明が要ります。
④ 税率ごとに分けた合計金額(税抜か税込)と、適用税率「合計 110,000円」だけでは足りない。「10%対象 100,000円」のように税率を書く。
⑤ 税率ごとに分けた消費税額④と別の行として、消費税の金額そのものを書く。
⑥ 相手(交付を受ける事業者)の氏名または名称「御中」の宛名。正式な社名で。

私の請求書は税率が10%だけなので、④と⑤は「10%対象 ○○円、消費税 ○○円」の2行を書けば終わります。 自分で作った請求書の書式に、この6項目の欄をあらかじめ印刷しておくと、書き忘れはほぼなくなります。

端数処理は、請求書1枚につき税率ごとに1回

ここが手書きで一番まちがえやすいところです。消費税の端数は、1枚の請求書の中で、税率ごとに1回だけ処理します。 切り上げ・切り捨て・四捨五入のどれでもよく、決めた方法を続けます。

やってはいけないのは、明細1行ごとに消費税を計算して端数を落とし、それを足し上げる方法です。 月締めで明細が多いほど、1円単位のずれが積み上がります。 明細の税抜合計を先に出し、最後に一度だけ10%を掛けて端数を処理する、という順番にしておけば間違えません。

控えを残す(7年)

適格請求書を出した側は、その写し(控え)を保存する義務があります。 期間は、交付した日の属する課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から7年間です。 手書きなら、複写式の請求書か、渡す前のコピーを取っておきます。 枚数が少なければ、月ごとに封筒に入れて年で束ねる程度の管理で足ります。

請求書をメールやPDFで送るようになると、話が変わります。電子でやり取りした請求書は、電子データのまま保存することが求められます(電子帳簿保存法)。 紙で出して紙で控えを残しているうちは、この対応は要りません。

手書きで回る条件と、ソフトに変えるとき

私の場合、手書きで回っているのは次の条件がそろっているからです。

逆に、次のどれかが起きたら、私はソフトに変えると思います。

ソフトに変えると、登録番号・税率別の合計・消費税額・端数処理・控えの保存が自動になります。 つまり、この記事で「毎回確認している」と書いたことの大半が要らなくなります。 主なものは次の3つで、どれも無料で試せます。

帳簿のほうを本格的にしたい場合は、売上・仕入帳のページの下に会計ソフトの案内があります。

売掛の管理は、帳簿の側で

請求書を出したあと「いつ入金されたか」は、請求書ソフトを使わなくても、帳簿の側で追えます。 売上・仕入帳(1か月版)は小売向けに「現金・カード」で分けていますが、 卸のように請求書を出して後で入金される形なら、売上の列を「請求済・入金済」に読み替えて使えます。 この形に直した版は、自分の帳面に合わせて作るつもりです。

参考にした資料

私は税理士ではありません。この記事は、自分の請求書について国税庁の資料で確かめたことを書いたものです。 自分の場合にどう当てはまるかは、国税庁のインボイスコールセンター、税務署、税理士にご確認ください。制度は変わることがあります。